第3回こえほん絵本コンテスト

結果発表

2013/01/29 更新

「第3回こえほん絵本コンテスト」が結果発表となりました。
ご参加いただいたみなさま、本当にありがとうございました。

最優秀賞

もりの くつやさん作・もりたゆにこ  

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審査員からのコメント

「次は誰のくつかな?」と考えながら、ページをめくることを楽しめる絵本です。
思わず顔もほころぶあったかい終わり方とあいまって、読みながら親子の会話が広がりそうなところが高評価となりました。読者の視点が考えられている作品だと思います。
おしまいのページまで仕込みがあるところも素敵ですね。画力も高く、総合力から最優秀賞となりました。おめでとうございます!


優秀賞

あったかいや作・マォ  

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審査員からのコメント

「あったかく」なったお客さんの表情が愛らしくて和みます。
シンプルな構成の中にも、引いているソリの小物や、雪に残る足跡など、何気ないところが細かく描かれている点がよいですね。
お客さんがだんだん大きくなるなど、オチに向けての伏線があるのですが、いまひとつ主張しきれていないのが惜しいです。7ページ目の坂をわかりやすくもこもこにして、次のページに繋げても楽しかったかと思います。


さむがりおばけ作・naoin  

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審査員からのコメント

愛嬌があって飄々としたゆうれいに翻弄される人々と、女の子の愛らしさが光る、ユーモアたっぷりのお話。
ストーリーがよく練られています。落語のようなテイストで、語りを意識した文章も高評価でした。
ページをめくるにつれて暖色が増え、感覚として「あたたかさ=ゆうれいの気持ちの変化」を捉えることができます。宴をはじめるくだりが少々急なのが惜しいですが、構成力が高い絵本でした。


入選

ざぶーん作・むぎちゃ  

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審査員からのコメント

「お風呂の楽しさを伝える」という意図が明確で、また、それをよく表現できています。こどもらしい動きと表情がかわいらしく、文章も口に出したいリズムですね。
それだけに盛り上がりが弱く、中だるみしてしまった点が惜しい。全体的なページ配分を見直したり、盛り上がりとなる「ざっぶーん」にもっと動きを出すなど、テンポにメリハリがつくと、より楽しい絵本になると思います。
スケッチブックのテクスチャは、なくてもよいかなと感じました。


いちばん あったかい作・トントンタン  

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審査員からのコメント

「お洋服たちがお茶会をする」というシチュエーションが、絵本的で楽しい作品です。文章もリズムや擬音が意識されて好感がもてます。
9ページ目の強調が強く、流れを止めてしまった点が惜しく感じられました。
たとえば、ここで11ページ目のような「皆を着けて寒い外にお出かけする」絵を持ってくると、「みんなだよ」という言葉にも説得力が増すのではないでしょうか。
構成次第で更に魅力的になる作品だと思います。


なきむしケイト作・R E I  

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審査員からのコメント

画力が高く、練られたページ構成が光ります。
良くも悪くも先が読めてしまうストーリーのため、なにかもう一歩、要素が欲しいなと感じました。
特に、主人公であるケイト自身の努力や成長が感じられない点が惜しいです。
前半に「がんばっているが上手くいかない」様子を入れる、あるいは「友達にはツンツンしているけれど本当は…」といった性格づけにするなど、キャラクターの背景に深みがあれば、更に完成度が高くなったように思います。


いちばんはっぱ作・空  

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審査員からのコメント

ストーリーがとても良いです。内容を表現した上で、耳に残るタイトルも素晴らしい。「誇りに思うよ」というフレーズも印象的で、テーマにぴったりの作品だと思います。
最終ページが引きの構図、また、少し暗くふちどられることで、寂しい印象になってしまったのが残念でした。
この構成であれば、最後のページはより彩度の高い色で木の周辺を着色し、気持ちのあたたかさを強調してもよかったかと思います。


しんしんらんらん作・jorijokoppy  

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審査員からのコメント

「ばらばらの靴」といった小道具の使い方がよく、物語の展開の仕方が巧みです。
一方、あたりになにもない雪景色と不思議な男の人、というファンタジーな設定の中、「95歳」「県外」といった具体的な言葉が、世界観を混乱させている印象があります。
文章にもう少しデフォルメを加え、「おじいちゃん」「遠くで仕事をしていて」など、ある程度ぼやけた言葉を選ぶことで、より自然で感情移入がしやすい作品になるのではないでしょうか。


総評

「第3回こえほん絵本コンテスト」にご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。
今回のテーマは「あったかい」。寒い時期での募集ですが、発表された作品が読まれるのは一年中どの季節でもよいわけで、さまざまな角度の「あったかい」を描いていただきました。

さて、8~12ページと制限があるなかで、キラリと光る作品も多数。
最優秀賞もりたゆにこさんの「もりのくつやさん」、優秀賞マォさんの「あったかいや」は、繰り返しを楽しく描くことで、絵本ならではの仕上がりとなりました。
優秀賞naoinさんの「さむがりおばけ」は、ゆうれいの背景を語りすぎず、「さむがり」という点に絞って展開することで、物語がぶれずにまとまっています。

今回は「こえほん」での配信ということで、「親子で楽しんでいただけるような作品」という視野を含めて審査を行いました。
もちろん、絵本は「親子」や「こども」だけのものではありませんが、本来こどもが楽しんでくれるものというのは、それだけ洗練されていて、大人にも発見を与えてくれるのではないかと思います。

少ないページ数のなかでメッセージを伝えたり、共感をよぶには、ある程度情報量を削ぎ落とすことや、デフォルメすることも大きなポイントのひとつです。
PictBoxでは今後もコンテストを行ってまいりますが、これからも「あえて絵本である」という点を活かした作品に出逢うことができれば嬉しいです。(成尾)